最高裁判所第三小法廷 昭和30(オ)142 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人石黒忍の上告理由及び同三浦強一、角田好男の上告理由第一点につい
て。
本件契約が原判示のような趣旨、内容の売買一方の予約である旨の原判決の認定
判断はその挙示する証拠に照らし、首肯するに難くない。してみれば、右予約完結
の意思表示に際し、代金の提供をしなくても本件不動産の所有権が被上告人に移転
するものと解すべきは当然であり、従つてこの点に関する原判示もまた正当である。
所論引用の判例は本件に適切でない。所論はひつきよう原審の専権に属する証拠の
取捨判断ないし事実認定を争うか、独自の見解に基いて原判決を論難するものでし
かなく、採るを得ない。
上告代理人三浦強一、同角田好男の上告理由第二、三、五点について。
上告人による宅地、建物明渡の本訴は同人が本件不動産の所有権を有し被上告人
がこれを権原なくして占有していることを理由として、その明渡を求めるものであ
つて所論の解約申入による賃貸借の終了も被上告人が占有権原を喪失した一事由と
して主張したものにすぎないことは、原審において双方代理人により陳述された一
審判決事実摘示によつて明らかである。
されば原判決が本件不動産の所有権が原判示売買予約完結の意思表示により昭和
二〇年六月一日被上告人に移転した旨判示している以上上告人の前記請求の認容さ
れないことは明らかであり、原判決には所論の違法ありというを得ない。
同第四点について。
原審が所論事情変更等を理由とする上告人の主張を排斥していることは原判決引
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用の一審判決の判文上明らかであるから原判決に所論の違法は存しない。それゆえ
所論は採るを得ない。
よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
裁判官 高 橋 潔
裁判官 石 坂 修 一
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